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​環太平洋で

太平洋に浮かぶ島々にはどこにでも共通の、そして島によって少しづつ違うアダンや椰子の葉編みの文化があります
ミクロネシア ポリネシア メラネシア さらにはもっと離れた島々で、呼び名や葉の仕立て方や編み方などが違えど同じアダン(タコノキ)の葉や椰子の葉その他の植物を使って多様なものが編まれています

アダンの自生しない地域にも同様の手仕事があり
バスケットやカゴなどの小物から 家 壁 カヌーの帆 などありとあらゆるものが植物を編むことで生み出されています
それはまさに海を通じてすべての情報や技術が伝えあっていた証拠でもあります

”ホクレアのこと マウのこと”

ハワイの航海カヌー ホクレアは1975年に​アメリカ建国200年記念事業として建造されました
ホクレアはスターナビゲーション(伝統航海術)の航海カヌーです
建造された時 ハワイにはスターナビゲーションができる人がいませんでした
そこで
サタワル航法師マウがホクレアクルーにスターナビゲーションを伝達しました
マウはハワイのナイノアトンプソンに部外者には教えないとされていた航海術を教えたのです

のちに
マウに ハワイからお礼のカヌーが贈られます

カヌーにはアリンガノマイスという名前をマウがつけました

マイスというのは 落ちたパンの実 という意味です
サタワルではパンノキには所有者がいて
パンの実を木からもぎって取ることは禁じられています

落ちたパンの実は誰でも拾っていいのです

それは落ちた実が一番おいしく
誰でもパンの実を採っていいですよと思いやりの利他のゆいまーるなルールなのです
青い実をとってよいことになれば 我先に取り合うことになり
結果 美味しい実は食べられない ということを制するための。

 

技術は 伝えなければ消えてしまう 無くなってしまえば復活させられない

シェアし分け合うことこそ重要である

守るというのは隠すことではなく伝えることである
その意味と価値を知る人たちにより
技術は時も海も超え伝えられ 継承されていくのです


”ハワイのこと”

ハワイでも 

ハワイ以外の島々でも(琉球でも NZでも)
ある時期 現地の言葉を使うことが禁じられ
昔から伝えられてきた様々なことが現代様式の暮らしに押されて消えかけていました

ハワイでは

ハワイ語が話せる人がいなくなる危機をのりこえ
いま ハワイ語は復活し
おなじく消滅の危機を迎えていたラウハラと呼ばれるハワイのアダン編みは復活し
何百人もの人が集まるカンファレンスが開催されるまでになりました

このカンファレンスは

最初は4人でスタートしたと教わりました
いまやアメリカ本土 カナダ オーストラリアなどからも集まってきます


以前はフォービテンとしてラウハラは家族以外に教えないとしていた時代もあったようですが
そのことによって 守っていたはずの技術は
気が付いたら存続の危機にさらされていたのです

ラウハラを守るために誰にでも教えましょう というスタンスチェンジにより
​ハワイでのラウハラは復活しました

 

わたしも マウのこと ホクレアのこと マウリリからのはなし
カンファレンスの先生 クムたちをとおして利他の意味と意義を感じ

今に至ります


沖縄も日本も、このシェアしあう仲間である環太平洋のメンバーの一部であることが伝わるきっかけとなるのを願って
これを書いています


”日本では”
それは昔子どもの生存率が低かったころのことではありますが。
大人の着物にはある背縫いの縫い目が子どもの着物にないことから(子どもの着物は反物のひと幅を
身頃幅としていたので 背中に縫い目がありませんでした)魔物に狙われるのを避けるため
背中に縫い目を付けてお守りとしました それが背守り縫いです
目には魔物を通さげる力があります 
トルコとかのお土産で青い眼玉を見たことがありませんか
世界共通で目には魔物を見張る力があると信じられているのです

アダンの帽子はすべてが編み目でできています
頭の上に目がたくさんあるのです しかも一目一目を思いを込めて編んでいるものです
目玉ひとつでも魔よけの力がある目が 帽子全部を作っているとなったら
こんなに幸運の力が集まっている縁起のいいものがほかにあるだろうか 
アダンの帽子には被る人を守る思いが込められている 帽子を手に取ってもらえればそれが伝わる
​と考えています


”沖縄では”
てぃーあんだー という言葉があります
手の油 という訳になりますが 意味は手の油がしみこむほどに手をかけたもの
というものです
帽子は手の油が付くほどに てぃーあんだーなものなのです
丁寧に大切に編んでいますよ 心を込めて という意味です
琉球パナマはてぃーあんだーなのです



 

”純国産の唯一の帽子”
現代日本において 材料からすべて国産の帽子 というのは

アダンの帽子だけなのです
一度は失われた純国産の帽子が現在復活し
産業としての道を歩き始めようとしています
とても貴重で意味のある 純国産の帽子 に

その意味の分かる帽子業界の方々が注目しています

今後 編み手が増え 環境が整備され アダンの帽子 琉球パナマ帽子が純国産の帽子であることを

知る人が増えるでしょう

​そして 100年後 アダンの琉球パナマ帽子が伝統工芸として認められているのが私の目標です

 

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ハワイの研修風景
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